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医薬品ネット販売から各党マニフェストを比較する

7月11日に行われる参議院選挙に向け、各党からのマニフェストが先週一斉に出された。それぞれ、相当なボリュームのあるものであり、多方面にわたる項目がカバーされているので、各党のマニフェスト全体に対しての感想や意見をここでいうのは差し控える。
ただ、自分自身に深く関わりのある部分だけをかいつまんで、その部分で各党のマニフェストを比較してみると、各党の性格がある程度透けて見えるものである。僕は、自分自身がここ数年格闘している医薬品ネット販売の部分にフォーカスして、各党のマニフェストを読み較べてみた。

まず、自民党

13ページに、

51 かかりつけ薬局・薬剤師の積極的活用
安全・安心な薬物療法の推進のため、かかりつけ薬局・薬剤師を中心とした医薬分業を進めます。医薬品のインターネット販売の拡大防止に努めます。また、後発医薬品の使用促進についての周知活動を徹底します。

とある。「医薬品のインターネット販売の拡大防止に努める」と言い切るところが清々しい。是非の検討以前に、インターネット販売を悪として位置づけている。薬剤師会からの支援や献金で恩義があるのだろうが、この一文を見るだけで、自民党のスタンスを僕は理解した。

次に、みんなの党

21ページ目に
医薬品のインターネット販売は、利用者のニーズをふまえ安全性に配慮しつつ解禁する。

とある。
常識のある記述だと思う。「官僚のさじ加減」が既得権益と結びつき、起業の芽をつみ取っている日本の病巣を看破している。

最後に民主党。

民主党のマニフェストには、医薬品ネット販売に関する記載はない。医薬品ネット販売に対しては、党としてまとまった見解にまだ至っていないということである。
記載がないのは、必ずしも医薬品ネット販売の問題を無視しているからではない。むしろ、紆余曲折のあげく、とりあえず記載しないことにしたと理解している。「ハトミミ」に寄せられた規制改革要望のうち、4割が医薬品通信販売の件であったという理由をとっても、無視できないであろう。
民主党のマニフェストはワーキンググループが草案を作り、それを上層部で最終化したと聞いている。ワーキンググループの段階では、医薬品ネット販売の規制を見直すべきとのスタンスが明記されていたという。しかし、最終的なマニフェストからはこれが消えてしまった。

政府の行政刷新会議でも同様のことが起こっている。ライフイノベーションワーキンググループでは医薬品ネット販売の規制を見直すべきとの提言が出されたが、内閣府政務三役と厚生労働省との折衝により、むしろ厚生労働省よりの文言に置き換わったという。その直後に内閣改造があり、蓮舫大臣に代わったため、6月15日に出された規制・制度改革に関する分科会第一次報告書からは医薬品ネット販売に関する記載自体を削除することで落としどころにしたという。

察するに、現場で事情を理解した議員は、医薬品ネット販売に関する規制を見直すべきだという方向性を持っているが、党の上層部に行くと、何らかの政治的判断によって違った力が働いているようだ。
とはいえ、首相も内閣も代わり、党の意志決定プロセスも何らか変化したであろうから、今後は素直な政策が打ち出され、実行されることを期待したい。

このように、分厚いマニフェストも一つの視点から眺めてみると、それぞれの性格が浮かび上がってくるものである。もちろん、各政党の主張の一側面でしかないので、全体を論ずることはできないが、今回、一つの切り口から見渡すことで、僕の各マニフェストに対する理解は断然高まった。
 

うすき製薬設立90周年

明日、6/1で実家の会社、うすき製薬は設立90周年。1920年(大正9年)に僕の曽祖父、後藤前(すすむ)により設立された。

医者をやっていた曽祖父が、アスピリンを主成分として調合した痛み止め薬「後藤散」を後藤薬院で製造販売したのが始まりだそうだ。

それ以降、九州を中心に評判を呼び、一時は満州やハワイにも輸出していたという。

戦後はやや勢いが衰えたが、3代目の父の代に九州でのテレビCMなどにより再興し、九州一円では「後藤散」のブランドはかなり認知されたと思う。昭和48年には「かぜ ゴトーサン」を売り出し、解熱鎮痛薬の「後藤散」と風邪薬の「かぜ ゴトーサン」(昭和55年より後藤散かぜ薬)の二本柱で伸びてきた。

九州に住んだことのある方は、後藤散のCMをたぶん見たことがあると思う。

昭和61年には健康食品として霊芝飲料「喜喜萬年」(ききまんねん)を発売した。これはクセのある製品で、初めて飲んだ時に全く飲めないという人が多いが、一部の方の口には合い、かつ毎日の生活習慣に入れていただけるものだった。この喜喜萬年も当初はテレビCMを入れていたが、売れ行きはパッとしてはおらず、一部の熱烈なファンの方だけに愛飲されていた。

僕が1994年に前職のコンサルティング会社を辞め、事業を興そうかと思ったときに目をつけたのがこの喜喜萬年だった。熱烈なファンになる可能性の高い方にうまくアプローチし、よさを知っていただこうと思い、その当時、低価格化、高性能化しているパソコンでリレーションシップマネジメントを行おうとして設立したのが、ケンコーコムの前身「ヘルシー・ネット」だ。

一時は僕もうすき製薬の代表も務めていたが、ケンコーコムの事業が拡大し、2000年以降はEコマースが事業の中心となり、マザーズに上場するまでになったので、うすき製薬の代表は降りた。その後も取締役としては残っていた。

長寿ブランドの「後藤散」、「後藤散かぜ薬」という二本柱と、それらを毎年常備していただくお客様のおかげで、うすき製薬は90周年を迎えることになったが、僕がケンコーコムに専念するために後継者がいなくなり、近々、同じ大分に本社を置く全国的な医薬品卸であるフォレストホールディングスの子会社となり事業を継承していただくことになった。

これに伴い、僕は先月20日をもって、うすき製薬の取締役も辞任した。

事業継承、取締役の辞任ともに、ちょっとさびしいものもあるが、後藤散という長寿ブランド、およびうすき製薬という会社が100年、150年と長生きし続けるためには、これが最良の選択だと確信している。

僕個人は退くことになったが、後藤散という長寿ブランドがさらに飛躍し、まずは100周年の節目を素晴らしい形で迎えるのを応援している。

一審敗訴を受けて

本日、東京地裁で医薬品ネット販売訴訟の棄却を言い渡されました。
国側の主張を全面的になぞっただけの、極めて不当な判決です。
消費者のために、医薬品インターネット販売の安全性を最大限高めようと努力してきただけに、このような判決を受けて、残念です。
司法は「法の番人」だと、小学校の時に習いましたが、それがただの幻想だったのかという虚無感を覚えてです。
今回の法令は、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会といった守旧勢力が、医薬品のネット販売をつぶしたいと官僚や族議員に働きかけ、9千以上の消費者からの反対のパブリックコメントを踏みにじって、施行を押し切ったものです。
今回の判決で最も納得がいかないのは、「対面販売とネット販売を比べると情報提供の難易、実現可能性に有意な差がある」と断じていることです。
その理由として、例えば、
1. 対面販売では、購入者の年齢、性別、体格、身体上の特徴、顔色、表情、行動、態度やしぐさ、声質や口調を見聞きできるのに対し、インターネット販売ではそれらが困難である、あるいは購入者の申し出の場合は自己申告だからその申告内容の真偽の確認が著しく困難である。
2. 対面販売では、有資格者は名札で表示されているので確認できるが、インターネット販売では応対の相手が本当に有資格者であるか確認できない。
3. インターネット上で、禁忌事項に関するチェックボックスを設けたところで、それを正しく理解しているかわからない。
4. 対面販売で例え、実際の使用者が購入者以外のものであっても、対面販売であれば、購入者から情報をしっかり聞き取ることができるが、インターネット販売では購入者の自己申告に基づくしかないので、虚偽の申告を見抜けない。

実際のドラッグストアではこのような状況を実現しているでしょうか?
僕は「ポイントカードを持っていますか?」と言われた経験しかありません。
一方で、インターネット上では、ペテン師がうそつきに販売していることを想定しています。

まさに結論ありきの理由付けとしか思えません。

このような不合理な理由で既存の業界を守り、新たな業界の出現を妨げることに、司法までもが荷担するとは驚きを禁じ得ません。
司法が、「インターネット販売は対面販売に較べて情報提供の点で有意に劣る」と認めたことは、Eコマースやインターネットのビジネス全体の根幹を揺るがします。

また、今回、対面販売の優位性を認めたことで、インターネット販売だけでなく、漢方薬や伝統薬の郵送販売も、同様に安全性が劣ることを司法に認められたことになります。

立法、行政だけでなく、司法までもが堕落しているこの国に将来はあるのでしょうか?
このような国に、新しいビジネスが生まれる土壌があるのでしょうか?
この日本の何を信じていけばいいのでしょうか?

まだ1ラウンドが終わったところです。このような状況に終止符を打つまで、徹底的に戦います。

本日の記者会見で述べた内容に、一部加筆しました。