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2007年11月29日 (木)

恐怖のダチョウさん

毎日、動物にかこまれて仕事をしています。

動物園にいるので、
当たり前の話なのですが、
楽しいですよ。

事務所でパソコンを触っていても、
遠くにはキリンが見えますし、ライオンの鳴声も聞こえます。

チョッと歩けば、サイもチーターもいるんですから!!

それに、毎日が、
特別なバックヤードツアーですしね。

と言っても、それだけじゃないこともあるんです。

それは・・・

20071129

「動物は怖い」ってことです。


キリンは優しい顔をして、のんびり歩いているイメージです。

実際にも、一日中ゆったりと口をモグモグさせながら
のんびりムードです。

しかし、いったん走り出すと、
時速60キロを超えるスピードで走ります。

道路を走る自動車以上のスピードです。

それも身長5メートル、体重800キロです。

めったに全速で走ることはないのですが、
臆病な性格ゆえに、何かに驚いてしまうと
走り出すこともあります。

ある日、キリンの爪をチェックしようと思い、
キリンに近づきました。

キリンは、私を見ても驚きませんので、
なごやかな雰囲気で診療開始です。

ときどき、爪が伸びすぎてしまうキリンがいるので
伸びる前に対応するための診療です。
もし、伸びすぎてしまいそうなら、
運動を増やしたり、
爪に油を塗って柔らかくして、削れるようにします。

「大丈夫だねぇ」なんてことを
キリンに話しながらチェックをしていると、
フェンスの向こう側から、見知らぬ業者の方が


「コンチワ! 餌を持ってきましたあー!!」


と、元気よくあいさつです。

普段は、キリンのところまで業者の方が来ることは
ないのですが、
初めての方らしく、迷ってここにたどり着いたようなのです。

見知らぬ人、それも元気いっぱいの大きな声・・・


もちろん私も、キリンもビックリ!!


驚いたキリンは、私に向かって大暴走!

8頭のキリンが、私のそばで運動会です。

800キロを超えるキリンたちが、私の周りをグルグルです。

逃げられない私は、その場に立ち尽くしました。

まるで高校球児がバットの素振りをするような
「ブンッ、ブンッ」という音が、私の周りで音を立てます。

それはキリンの足の音です。

もちろんキリンは、私を蹴ることなく
通り過ぎていくのですが、
このときの「怖さ」は筆舌に尽くしがたいものがありました。


怖くないですか?
・・・



こんなこともありました。

ダチョウが卵を産みました。

日本の温度では、
ダチョウの卵は孵化(ふか)しないために
確保して孵卵器という機械に入れて、ヒナをかえします。

その日も、その生まれたての卵を確保するために
動物ゾーンに行きました。

母ダチョウは、産みっぱなしで散歩中。

このときとばかりに監視車両から降りて、確保開始です。

卵を取ろうとした時、何か違和感を感じました。


ふと後ろを振り返ると、
オスのダチョウがこっちに向かって全力疾走です。


ダチョウは、時速70キロで走ります。
体重は120キロほどでしょうか。

クチバシも大きく堅いです。
つつかれたら・・・当然痛いです。
痛すぎます。

私は卵の確保をあきらめ、全力で逃げます。

どんどんダチョウが近づいてくるのがわかります。
なんせ時速70キロですから・・・

車に乗ればよかったのですが、
車の方向からダチョウが来たので、逆の方向に逃げてしまったのです。


「卵を取ろうとしたから怒ったのか??」

「なんで全力なんだ!?」

「どうやって逃げようか?」


なんてことが、走馬灯のように頭の中をかけめぐります。

少し走ると目の前に大きな木が見えてきました。
当然、登りました。

「助かった・・・」


でも、何で追っかけてきたのだろう?


今までこんなことはなかったのです。
やっぱり卵を確保しようとしたのが悪かったのでしょうか。

「ヒナをかえそうと思ったのになぁ。そのままじゃヒナが生まれないでしょ!」
なんてことを木上で考えていました。

木の下には、オスダチョウが私を見上げてウロウロしています。


怖かったです。


すると、そのオスダチョウは木の下で求愛のダンスを始めたのです。

周りには私のほかに誰もいません。

明らかに私に対して、求愛のダンスを踊っているのです。


「なんだよ!」


このオスダチョウは、私を襲うためではなく、
なぜだか私に強烈な好意を抱いて、追いかけてきたのです。

ちなみに私は男(オス)です。

動物に好かれたことはうれしいのですが、複雑な思いです。

まだ、木の下では熱烈な求愛のダンスが続いています。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

『ダチョウさんへ』

私に好意を抱いても、
全速力で走るような急激なアプローチはやめておきましょう。

好意と言うよりも、恐怖を感じてしまいます。

それに私は結婚しています。

あなたの気持ちを受け入れられません。
ごめんなさい。 

神田より。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


伝わるはずのない手紙ですが、
だれかダチョウに届けてください。

あー怖かった。

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コメント

もう師走デス★
メリー・クリスマス♪デス。
コ(・0・)ン(^、^) チ(・_・) ハ(^〇^)♪

ダチョウさんに慕われましたか・・・(*^ー^*)
いくら好意でも、そうですね・・・、複雑ですよね。

でも、いつもいつも卵を抱えて子育ての手助けをしてくれる優しい神田先生の姿を見て、「男ながらに惚れちまったぜ~!」って感じたのかもしれませんよ(^。^)


でも、どちらにしても、怪我などされないように気を付けて下さいねd(^-^)!

いつも何か事件があるアフリカンサファリ。^・ェ・^。

神田先生、こんにちは。少し御無沙汰してしまいました。

 以前お願いした体験談を御紹介いただき、ありがとうございます。

>「動物は怖い」ってことです。
>まるで高校球児がバットの素振りをするような
 こうしたリアルな描写は体験した方にしかできないでしょうね。
 8×4=32本のバットを周りで振り回されたら生きた心地がしないでしょう。

 以前のコメントで採り上げた旭山動物園の小菅園長の御著書にも、治療中のホッキョクグマの麻酔が切れかけて起き上がり始めた、という恐怖体験がありました(今でも夢でうなされるとか)。

 人間よりも大きく、力が強く、それでいて繊細な動物たち。
 「かわいい、面白い」だけでは解からないところがたくさんあるんですね。
 動物たちを傷付けず、また動物たちに傷付けられず、動物園で楽しく過ごすためにも、そうしたことも理解しておきたいと思います。

 時節柄、「風邪にはお気をつけください」と申し上げるところですが、安全にもお気をつけくださいませ。

>ユキンコさん
メリークリスマスです!
惚れられるのは良いのですが、怖いのは勘弁です^_^;
体調の件ですが、ここ3年ほど風邪もひいてません。
不思議と元気です!!
動物に元気をもらっているからでしょう(^.^)

>Macropus ridiculusさん
ごぶさたしてます!
動物園めぐりを続けているのでしょうね?
もう日本国内の動物園は制覇しましたか?
どこに行っても動物園は、ワクワクしますよね。
また、色んな所の感想をお待ちしております!!

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