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2007.3 とうとう明るい兆し?アルツハイマー病ワクチン

人間の人格を奪ってしまうアルツハイマー。本人はもちろんですが、その家族やまわりの人もやりきれない気持ちになってしまうものです。いままでは、予防策も改善策もなかったアルツハイマー病ですが、とうとう、あるワクチンの効果がマウス実験で確認されたということです。

                                 ケンコーコム薬剤師 中山 美紀

認知障害には、脳梗塞などにより脳の血流量や代謝量が減少して起こる「脳血管性」や、脳内で特殊なタンパク質異常(アミロイドの蓄積)が起こり、脳内のニューロンが消失して起こる「アルツハイマー型」等がありますが、日本人では近年、アルツハイマー型の認知症が増えているということです。このアミロイドを分解することがアルツハイマーの治療・予防の道であり、多くの専門家がその研究に力を注いでいます。

そんな中で2003年に、マウスの脳内のアミロイドが消える経口ワクチンを開発したことを発表していた名古屋大、国立長寿医療センター研究所等のチームが、今回はマウスを使った実験で発症後に飲むと症状が改善することを確認したということです。

研究はアルツハイマーモデルのマウスを使って行なわれました。
アルツハイマー病を発症した生後10カ月の時点で、ワクチンを与える群と与えない群に分け、3ヶ月後に記憶力や学習能力など認知力を試す4種類のテストを行ないました。
その結果、ワクチンを与えなかったマウスは全テストで成績が落ち、認知力の大半を失っていたのに対し、ワクチンを飲んだマウスは成績が発症前のレベルまで戻ったということです。また、脳炎や出血などの危険な副作用もなかったそうです。

このワクチンは、病原性をなくしたウイルスにアミロイドというたんぱく質を作る遺伝子を組み込み、口から摂取すると腸の細胞がこの偽のウイルスに反応し腸管粘膜免疫系を活性化し、体内で自発的にアミロイドを攻撃する抗体を作ります。この抗体が脳にたまったアミロイドを攻撃し、分解するということです。

実は、以前にもアイルランドの製薬会社が世界初のアルツハイマー病のワクチンを開発していましたが、残念なことに、臨床試験中に患者の6%が重い脳炎を起こしたため、開発中止となっています。

また、現在日本ではアルツハイマー型認知症の治療薬として製薬会社「エーザイ」から、「アリセプト(成分名・塩酸ドネペジル)」が発売されていますが、根治の効果はなく、症状の進行を遅らせるにとどまっています。

研究チームは次の段階として、この経口ワクチンの臨床試験の準備を進めていますが、直接たんぱく質などを注射する方法ではないため安全性が高く、薬液を飲むだけで簡単ということで、期待が高まっています。