更年期をサポートするレッドクローバー
最近では更年期の女性に「大豆イソフラボン」は常識となりつつある。日本人は欧米人と比べ更年期のホットフラッシュが少ないことから、日本人が日常的に食べている大豆製品に秘密があるのではないかと研究された結果、「イソフラボン」という苦味成分が女性ホルモンのエストロゲンと非常に似た構造式を持っていることがわかった。
しかし、イソフラボンを含む植物は大豆だけではない。欧米では更年期の女性が多く用いているのが「レッドクローバー」や「ブラックコホシュ」といったイソフラボンを含むハーブである。
今回は日本でも注目されつつある「レッドクローバー」の更年期障害に対する効果を紹介する。
○更年期障害はエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少が原因
女性の更年期障害はエストロゲン分泌の低下と密接な関係がある。40代後半になると、生まれつき持っていた卵子の数が残り少なくなり、卵巣機能も低下して、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減ってくる。すると、指令を出している視床下部や脳下垂体の方でも混乱が生じ、同じ視床下部でコントロールされている自律神経も乱れてくる。そのため、ホットフラッシュ、発汗、動悸、イライラなどの症状があらわれるようになる。
○レッドクローバーのイソフラボンの特徴
レッドクローバーは和名を「ムラサキ(アカ)ツメクサ」、マメ科の植物である。シロツメクサ(クローバー)と同じ仲間で花が赤紫のものである。レッドクローバーの地上部、花の部分がハーブとして利用される。
イソフラボンの中にも細かくいくつかの種類があるが、レッドクローバーイソフラボンには大豆に多く含まれる「ダイジン」と「ゲニスチン」は少ないが、「フォルモノネチン」「バイオカニンA」という特徴的なイソフラボンが多く含まれている。
一般的な大豆イソフラボン(ダイジンやゲニスチン)は腸内細菌によってくっついている糖が外され、ダイゼインやゲニステインなどの「アグリコン型」に変換されてから吸収される。しかし、レッドクローバーのフォルモノネチンとバイオカニンAは腸内で変換の必要なく、そのまま吸収され、肝臓でダイゼインとゲニステインに変換される。つまり、もともと吸収されやすい「アグリコン型イソフラボン」ということである。そのため、レッドクローバーのイソフラボンは腸内細菌の個人差に関係なく効率よく効果が発揮されると考えられている。
また、レッドクローバーにはダイゼインとゲニステインもほんのわずかではあるが含まれている。
○レッドクローバーエキス製品によるダブルブラインド試験
レッドクローバーはオーストリア、スイスで更年期症状の治療薬として医薬品に認可されている。
レッドクローバーの効果について研究されたダブルブラインド試験を紹介する。
ダブルブラインド試験とは、プラシーボ効果(思い込みによる効果)を除去するために、医者も患者もどちらが効果のある「被験薬」で、どちらが効果の無い「偽薬(プラセボ)」であるかをわからないようにして、治験を進める方法である。
使用されたのは「スイス・LINNEA社製」のレッドクローバーエキス製品。レッドクローバーエキス200mg(イソフラボンとして1日80mg)、3ヶ月間投与群ではプラセボ群に比べて有意に更年期症状の減少がみられ、トータルで81%の患者が更年期症状が改善した。
○ピクノジェノールとの併用での更年期症状に対する効果
日本で行なわれたレッドクローバーの効果についての試験。
13名の更年期症状に悩む患者さんに、同意の上でスイス・LINNEA社製のレッドクローバーエキスとピクノジェノール(松樹皮エキス。高い抗酸化作用作用をもつ)が配合になったサプリメント(「ピクノケアRC」(株)HBLジャパン製)をイソフラボンとして80mg、2ヶ月間摂取してもらった。その結果、更年期症状の高い改善率がみられた。
・ホットフラッシュ 71.0%減
・発汗 50%減
・腰や手足の冷え 39,3%減
・動悸、息切れ 33.8%減
・寝つきが悪い、眠りが浅い 49.5%減
・イライラ 28.4%減
・憂うつ 26.9%減
・頭痛、めまい、吐き気 22.4%減
・疲れやすい 37.9%減
・肩こり、腰痛、手足の痛み 30.4%減
○レッドクローバーの安全性
安全性についても、米国FDAの安全食品リストに収載されている。
また、ホルモン補充療法に使用される合成エストロゲンのような副作用の心配はない。
エストロゲンの受容体には、主に乳房と子宮にある「α受容体」と、主に脳、心臓、骨にある「β受容体」があり、合成エストロゲンはα受容体に結びつきやすく、これが原因で乳がんや子宮がんの危険性を高めることが指摘されている。しかし、大豆イソフラボンの場合は、α受容体にはくっつきにくく、β受容体にくっつきやすい性質を持つため、合成エストロゲンのような副作用の心配はない。
また、選択的にエストロゲンを作動させる働きと抑える作用をもち、体内のエストロゲンが不足しているときにはそれを補い、過剰なときにはその働きを抑制し、体内の女性ホルモンを適量に保つ作用があると考えられている。
ただし、妊娠中の摂取は控えること。
※ここで紹介した臨床試験に使用されたのはスイス・LINNEA社製のレッドクローバーエキスで、40%のイソフラボンを含む。市販されている商品には様々なレッドクローバーエキスが使用されており、中には8%程度の含有率というケースもあり、紹介した試験と同等の効果が得られるとは限らないので注意すること。
参考資料
◇更年期障害の改善に優れた「レッドクローバーイソフラボン」(「FOOD Style 21」Vol.8 No.9)生薬発酵研究所 長谷川秀夫


