成長ホルモンの分泌を促進するL−オルニチン
最近、アミノ酸についての研究が盛んになった。特にダイエット素材としての注目度が高く、必須アミノ酸だけでなく、実に様々なアミノ酸がクローズアップされている。
「L−オルニチン」もそのひとつ。2002年にオルニチン塩酸塩が食品素材としての使用を認められ、ダイエットや筋肉増強など、その働きについても広く知られるようになっている。
☆L−オルニチンとは
L−オルニチンは私たちの体内に存在する遊離アミノ酸(筋肉や内臓、血管などのもとになるタンパク質にならずに、血液中に存在して体内を自由に動きまわって働くアミノ酸)である。肝臓でのオルニチン回路でアルギニンと相互に変換されるため、アルギニンとオルニチンは非常に近い関係にある。
口から入ったL−オルギニンは腸管で吸収され、肝臓、腎臓、筋肉に移行する。
L−オルニチンは様々な働きを持つ。
この中でも、現在最も注目されているのは「成長ホルモン分泌促進作用」である。L−オルニチンは脳の下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を促進することがわかっている。
☆ダイエットと筋肉増強の鍵、成長ホルモンとは
最近では「老化防止」「ダイエット」「筋力アップ」を心がけている方々の間で「成長ホルモン」というキーワードが知られている。
成長ホルモンは脳の視床下部−下垂体で作られ、身体の成長を促すために次のような働きをする。
この成長ホルモンが分泌し続ければ、これらの働きにより、私たちの60兆個の細胞の代謝も活性化され、筋肉は増え、脂肪は減り、骨も丈夫でいつまでも若々しくいられるのだろうが、残念なことに20から30代を過ぎると成長ホルモン分泌量は減っていく。
Ho KK. et al. Aging and Growth Hormone. 40:80-6, Horm Res. 1993改変
また、成長ホルモンは年中分泌されるわけではなく、運動後と睡眠中に分泌される。運動後、30分頃から約3時間、筋肉を修復するために成長ホルモンが分泌される。また、睡眠に入って30分頃にノンレム睡眠(深い睡眠)に入ると成長ホルモン分泌量は最大となり、3時間ほど分泌が続く。
ゆえに、適度な運動とより良い睡眠は成長ホルモン分泌のために不可欠である。
☆L−オルニチンは成長ホルモンの分泌を促進する
L−オルニチンを摂取することにより、成長ホルモンの分泌が促進されることがわかっている。
ボディービルダーの男女9名に一晩の絶食の後、オルニチン塩酸塩を経口で、40mg/kg、170mg/kgを与え安静にし、摂取から45分後及び90分後の血清中成長ホルモンを測定した。その結果、オルニチンを170mg/kg食べたときのほうが40mg/kg食べたときより分泌量が上がっていた。

Bucci L. et al.Omithine ingestion and growth homone release in bodybuilders.Nutrition research. 10:239-245,1990改変
☆L−オルニチンは体脂肪の減少を促進する
成長ホルモンの分泌が促進されると脂肪代謝が活発になり、体脂肪減少につながる。
18人の成人男性を2群に分け、1群にはプラセボ(偽薬)を、もう1つの群にはL−オルニチンとL−アルギニン1gずつを週に5日、5週間で計25回摂取させた。また、その5週間に合計15回のウエイトトレーニングを行なった。その結果、プラセボ群と比較して有意に体重および体脂肪率の減少が見られた。
Elam RP.Morphological changes in adult males from resistance exercise and amino acid supplementation.Journal of Sports Medicine&Physical Fitiness、28(1):35-9,1988改変
☆L−オルニチンは筋肉を増強する
L−オルニチンを摂取すると、体脂肪が減るだけでなく、筋肉量がアップする。
22人の成人男性を2群に分け、1群にはプラセボ(ビタミンCを1gとカルシウムを600mg)を、もうひとつの群にはL−オルニチンとL−アルギニン1gずつを、週に5日、5週間で計25回摂取させた。また、その5週間に合計15回のウエイトトレーニングを行なった。その結果、プラセボ群と比較して、有意にベンチプレス等の総負荷量の高値および除脂肪体重の増加が見られた。
Elam RP. et al.Effects of arginine and ornithin on strength,lean body mass and urinary hydroxyplorine in adult males.Joumal of Sports Medicine&Physical Fitness. 29(1):52-6,1989改変
☆L−オルニチンの有効な摂取方法
これらの学術データから、ダイエットや筋力アップが目的の場合、L−オルニチンとL−アルギニンと一緒に摂取するといいであろう。量としてはだいたい800mgから1g(1000mg)程度が理想であろうと思われる。
しかし、L−オルニチンは遊離アミノ酸のため、他のアミノ酸と異なり、食事から摂取できるタンパク質にはそれほど多く含まれていない。一番多く含まれているシジミでも100gあたり10.7mg〜から15.3mg(協和発酵ホームページより)ということであるから、1日1000mgのL−オルニチンを摂取するには約6−7kgのシジミが必要であり、明らかに無理がある。ゆえに、L−オルニチンを摂取したい場合はサプリメントを利用すると良い。ちなみに、サプリメントに使用されているL−オルニチン塩酸塩の約80%がL−オルニチンである。
摂取タイミングとしては、おそらく成長ホルモン分泌のタイミングに合わせると良いであろう。運動前や寝る前に摂取してみてはいかがだろうか。
☆L−オルニチンの安全性
L−オルニチンは私たちの体内に存在し、重要な役割を果たしているもので、安全性の高い素材であると思われる。上記の体脂肪減少や筋肉量増加の臨床試験でも、副作用の報告はない。
また、協和発酵が行なったラットでの安全性試験でもLD50(投与した動物の50%が死亡する用量を体重当たりの量としてあらわしたもの)は10g/kgであり、無毒性量は、雄:3444.8mg/kg、雌:3985.7mg/kgと推察されている。
