93%の女性を苦しめるPMS(月経前症候群)-チェストベリー
月経の前になるとイライラする、胸が張って痛くなる、むくむ、頭が痛くなる。これらはPMS(月経前症候群)といわれるもので、月経のある女性で何らかの症状を訴えるひとは93%にものぼり、その中の20%から50%は日常生活に支障をきたすほどの症状だそうだ。
○ PMSとは、どのような症状か?
月経の1週間から2週間前(排卵日前後の黄体期)になると心身にいろいろな症状が出る。
・身体に出る症状
腹痛、乳房の張りや痛み、頭痛、肩こり、めまい、冷え、肌荒れ、むくみ、体重増加、食欲増進、下痢、便秘、疲れやすい、眠い、おりものが増えるなど
・心に出る症状
イライラする、無気力、憂うつ、情緒不安定、気分の高揚など
症状がひどい場合は自分が何をしているか分からなくなったり、言動を覚えてなかったり、無意識に万引きなどをはたらく場合もある。
○ なぜ、このようなことが起こるのか?
PMSの原因は「エストロゲンとプロゲステロンのバランス異常」ではないかと考えられている。PMSの起こる黄体期は、毎月卵巣から卵子が排出される直後からである。この時期はエストロゲンの分泌量よりも、プロゲステロンの分泌量が多い時期で、全体的に女性ホルモンの分泌が多い時期である。
PMSの場合、プロゲステロンの分泌量 が少ないかエストロゲンの分泌量が多すぎることで、両者のバランスが崩れて起こると考えられるため、病院での治療は主に「ホルモン療法」となっている。中容量や低容量のピルを用いて、妊娠と同じような環境をつくり、プロゲステロン濃度を高い状態に保つ。また、症状によっては抗不安薬や抗うつ薬を用いる。
○ 癒しのハーブ、チェストベリー
ヨーロッパでこのPMSによく使われているハーブはチェストベリーである。
チェストベリーは、エストロゲンやプロゲステロンの正常な分泌を妨げる働きがある「プロラクチン」の過剰な分泌を抑える。
高プロラクチン血症についての研究
無作為抽出でプラシーボコントロールされた52人の潜在的な高プロラクチン血症による黄体期欠乏の女性に二重盲検法による実験を行い、3ヵ月後に分析可能な37人(プラセボ群20人、チェストベリー投与群17人)のデータをとった。
その結果 、チェストベリー投与群では、プロラクチンの減少目的でチェストベリーを調整した人では減少し、黄体期に黄体ホルモンが足りなかった人は通常値になり、プロゲステロン生成不足だった人はそれが改善され、全ての患者に良好な結果が見られた。(Milewicz A et al.,Arzneim.-Forsch.,4S:752,1993)
PMSについての研究
178名の女性を対象に3サイクルにわたって多施設ランダム化対照二重盲検試験を実施。いらいら、気分、怒り、頭痛、鼓腸、乳房の張りについて自己評価、臨床医による臨床評価、および臨床検査を行った。
その結果、いらいら、気分、怒り、頭痛、鼓腸、乳房の張りを評価するスコアはすべてプラセボ群と比較して、優位に改善した。半数以上の女性で症状が少なくとも50%緩和された。
(Schellenberg R. BMJ 2001;322:134-137)
○エストロゲンを調節する、ブラックコホシュ
低温期が続くような場合は、チェストベリーとブラックコホシュを組み合わせる方法もある。
ブラックコホシュはゆるやかにエストロゲン受容体と結合するホルモン様作用を持つハーブで、ホルモンバランスを整える作用をもち、歴史的に更年期障害や、生理痛、月経困難症、PMSと、女性の月経周期に伴う障害に広く使われている。
このブラックコホシュとチェストベリーをホルモン周期に合わせて使うことで、ホルモンバランスが整ってくる。つまり、生理から排卵日頃(約14日後)までブラックコホシュを摂り、排卵日から生理開始までチェストベリーを摂ることで2ヵ月後くらいからホルモンバランスが整ってくる。
○ ハーブを使用する上で注意すること
ブラックコホシュ
月経誘発作用があるので、妊娠中は使用しない。また、大量に摂取すると中毒を起こす可能性があるので、授乳期は控える。
肝毒性のあるハーブやサプリメント、医薬品との併用は肝障害のリスクを増加させる可能性がある。また、肝疾患をもつ人が摂取すると症状が悪化することが考えられるので避けた方がよい。
チェストベリー
月経誘発作用があり、基本的には禁忌だが、プロゲステロンが不足している妊婦については妊娠3ヶ月目の終わりくらいまでは流産防止のために使うこともあるが、その場合は必ず医師に相談すること。3ヶ月を過ぎて摂取すると母乳が分泌されることがあるので、おすすめしない。
病院での治療と併用する場合は必ず医師に相談すること。
○PMSを改善するその他の栄養素
・マグネシウム・カルシウムもホルモンのアンバランスを解消する。特に偏頭痛のひどい人は、生理の2週間前から1日400mgから600mgのマグネシウムを3回に分けて摂るとよい。カルシウムは1日1000mg以上3ヶ月の摂取で50%以上の症状の軽快が見られたという報告がある。マグネシウムとカルシウムの比率は1:2がよい。
・炎症を鎮める魚油(DHAなど)を摂るために1週間に3回は魚にする。
・むくみがひどい人は、ビタミンB6を1日50mg程度摂るとよい。
・PMSの人に足りないγ-リノレン酸を摂るとよい。